ごあいさつ

会長就任にあたって
  
日本シミュレーション学会会長 田中 覚   
田中 覚   

 会長就任にあたりまして,一言御挨拶申し上げます.

 この度,理事の皆様の御推挙を賜り,日本シミュレーション学会の会長に選任いただきましたこと,身に余る光栄と同時にその重責に身の引き締まる思いを感じております.小山田前会長をはじめ,理事,代議員,一般会員,そして事務局の皆様の御協力を得ながら,本学会のさらなる発展のため微力を尽くしたいと考えておりますので,どうぞよろしく御願い致します.今秋より,いよいよ本学会は法人化されます.私は法人化された本学会の初代会長を拝命したわけですが,その社会的責任を会員の皆様の御協力を得て担っていく所存です.皆様の御指導,ご鞭撻を心より御願い申し上げます.

 さて,前任の小山田会長,前々任の小野会長の任期中には,本学会では様々な改革・事業が行われました.私も理事(国際委員長,企画委員長),副会長として,それらのお手伝いをさせていただきました.まずは簡単にそれらを振り返ることで,学会の現状をまとめてみたいと思います.

 まず,出版関係では,和文論文誌が電子ジャーナル化され,投稿や購読が大変行いやすくなりました.また,日本初の,シミュレーションの全分野を網羅した「シミュレーション辞典」を,コロナ社より発行しました.この辞典は,日本の主なシミュレーション関連研究者が結集して執筆を行ったという意味でも大変意義あるものでした.

 次に,イベント関係では,年次大会が,2009年度大会(山形大学)の部分的な国際会議化を経て,2010年度大会(東海大学)から完全国会議化されました.他の学会でも年次大会の国際会議化は大きなテーマとなっていますが,本学会では比較的早い時期に,これを先行して行うことができました.2012年度の大会は神戸大学で開催され,京コンピュータ関連の特別講演やツアー,神戸港クルーズでのバンケットなど,内容もますます充実させています.

 さらに,学会の国際化に関連して,2011年度には,日本シミュレーション学会が主導する形で,アジアシミュレーション学会連合(ASIASIM)が,日本,中国,韓国,シンガポール,マレーシアの5カ国が参加して設立されました.これは,この10年ほど,アジア各国のシミュレーション学会の関係者が待ち望んでいたことであり,大きな成果と申せましょう.ASIASIMを母体とする研究会の立ち上げ,若手研究者の国際交流なども始まっています.

 さて,上記のような改革・事業の結果,本学会の価値は少なからず上がっていると確信しますが,今後はその価値を会員各位がより実感できるシステムを作ることが大切です.まずは,2013年春にいよいよ英文論文誌が発刊されますので,従来の和文論文誌とともに,これを会員の研究成果発表の場として,より役に立つものにしていきます.具体的には,査読期間の短縮,国内大会やASIASIM主催の国際会議 (Asia Simulation Conference)との連動強化などを行い,論文を投稿しやすい体制を整えます.また,他学会の論文誌では比較的発表しにくい,優れたシミュレーション・ソフトウェア作成の報告などの,いわゆるアプリケーション・ペーパーも増やしていきたいと考えています.さらに,必要な人が最先端のシミュレーション技術をいち早く学習できるためのチュートリアル講演や学会誌の特集なども,さらに増やしたいと考えています.メールマガジンによる情報提供も,より充実させます.ASIASIMを中核とした国際的な研究成果発信の環境を整えることも重要な目標です.

 もちろん,具体的な活動内容の検討や取り組みの実施に当たっては,会員の皆様の御意見を十分に伺いながら進めていきます.また,関係の深い学会との役割分担や連携のあり方についても十分に意を用い,より効果的・効率的な学会活動を推進していきます.会員の皆様には,なお一層の御指導と御支援を賜りますよう心から御願い申し上げまして,会長就任の御挨拶とさせていただきます.